なーのブログ

nan1sa の個人ブログ

Mastodon と Twitter の1年間を振り替える記事

2023-12-12 雑記

この記事は Fediverse (2) Advent Calendar 2023 12日目の記事です。


この記事の9割くらいはただの戯言なので「なんか言ってる〜」くらいの気持ちで読んでくれると嬉しいです。

振り返ってみる

今年の2月に Fediverse 移住に合わせて立てたなーさーばーもいよいよ今月で10ヶ月です。Mastodon サーバーどころか VPS 自体ほぼ触ったことが無かった人間が「Tweetbot が使えなくなった」という理由だけでよくここまでやってきたなと、我ながら偉いなと思っています。

さて、Mastodon のインストール方法などはこのブログで散々書いている上に今回のアドベントカレンダーでより爆発的に増えると思うので、この記事ではな〜個人の視点で Mastodon と Twitter の1年間を振り返ろうと思います。

Twitter Blue 開始

今年の1月11日、日本国内で Twitter Blue の提供が開始されました。正直、もっと最近だと思っていたので思ったより早くスタートしていたと知ってびっくりしました。

かつての Twitter の認証マークは本人を示すもの、あるいは有名人であることが明らかに分かる信頼のマークでした。企業や有名人のなりすましが表れても「マークが付いていないから偽物だ」と簡単に判別できました。

ですが、現在の Twitter Blue が開始されたことで認証マークはただの「課金しているか否か」しか分からないマークになりました。何なら、収益を得ることができるようになって以降インプレッションを稼ぐために過激な内容のツイートをするアカウントや伸びているツイートのリプ欄に大量のリプライを送るアカウントなどが表れたせいで、認証マークの価値が地の底まで落ちました。1年前の自分が聞いたらびっくりすると思います。

開発者規約の変更と Fediverse 移住

Twitter Blue 提供が開始されて間もない1月19日、サードパーティ製のクライアントが禁止されました。個人的に Fediverse に移住しようと思った最も大きなきっかけです。

なーは当時 Tweetbot という iOS 用クライアントを使っていました。Tweetbot は未読位置の複数端末間の同期や複数アカウントの管理、軽快な動作など多くの特徴があったことから有料にも関わらず多くの利用者がいました。その Tweetbot をはじめとする有名 Twitter クライアントは、1月13日に投稿や閲覧などの各種機能が急に使えなくなりました。

当初は Twitter 側の障害かと思われましたが Twitter 公式では案内が一切なく、18日になって突然「古くから存在していた規約が適用された」趣旨のアナウンスをしました。もちろんそんなものはなく、19日になって始めて明示されました。意味がわからない。

現在の Twitter 公式アプリやかつての TweetDeck はサードバーティが開発していたものに由来するにも関わらず、そういった開発者に経緯を見せずに一方的に禁止した Twitter を使い続けるのが無理だと判断したのが Mastodon サーバーを立てたきっかけです。

なお、5月に Twitter API 有料版の提供が開始されていますが月5000ドルするプランでも Twitter クライアントの開発は禁止されていないので個人的には無用の長物になりました。

Mastodon クライアント開発の活性化

Twitter クライアントの締め出しに伴い、かつて Twitter クライアントを開発していた人たちが Mastodon クライアントを開発するようになりました。Tweetbot の開発元である Tapbots によってリリースされた Ivory もそのひとつです。

Ivory は当初 Tweetbot に比べて機能が少ない状態が長期間続いたため「開発が停滞しているのでは?」と思っていたのですが、8月に絵文字に対応して言語指定にも対応し、Tweetbot には無かった別アカウントによるブースト・お気に入りに対応するなど、急速に発展しました。今では欠点がほぼ見つからない最高の Mastodon クライアントとして毎日使っています。

Ivory の他にも feather や ZonePane (TwitPane) など、多くの Twitter クライアント開発者が Mastodon クライアントの開発をはじめました。今でも Twitter クライアントの禁止は飲み込めていませんが、それがきっかけで Mastodon のクライアントが急増したのは嬉しいなと思いました。

API 制限の強化と名称変更

7月2日、Twitter で厳しい閲覧制限が実施されました。無料ユーザーは最大で1000ツイートしか表示できなくなり、人のツイートどころか自分のプロフィール画面でさえ表示できなくなりました。

Mastodon メインにしつつ Twitter も併用していたのは人口差がいちばんの要因なのですが、検索が気軽に使えなくなったのでメリットが半減しました。現在はある程度の改善をしているのですが、それでも一定期間に検索を多用すると使い物にならなくなります。

また、自分のツイートも見られなくなったのが本当に不便でした。Twitter は備忘録としても使っていたので、タイミングによっては見返すことさえ許されないというのが不便でしたし不快でした。その点、自分のサーバーであれば自分で好きなだけ見返せるというのはサーバーを立てて本当に良かったと思いました。

その後、7月24日に「Twitter」から「X」に名称変更されました。なーはこれまでもこれからも Twitter と呼び続けますが「Twitter は終わったんだなあ」と実感した出来事でした。

Mastodon の検索強化

9月21日、Mastodon 4.2 がリリースされました。特筆すべき点として、投稿の検索ができるようになりました。これまでは外部サービスを使わない限り他の SNS と同等の検索機能は使えませんでしたが、このバージョンから連合しているサーバーの投稿を検索できるようになりました。

更に、検索の許可・不許可の設定ができるためプライバシーにも配慮されたバランスのいい実装だと思います。あと、投稿ごとにも検索できるか否かの設定ができるので所謂「検索避け」のようなミュートを貫通する無駄な手間をかけずに好きな話ができるようになりました。ずっと前から存在した Content Warning と合わせてよりクリエイターにも優しい SNS になったと思っています。

Mastodon で実際に過ごした感想

ハッシュタグをよく使うようになった

Mastodon 4.2.x のリリースまで Mastodon では自由な検索が使えませんでした。その代わり、ハッシュタグを使うと連合で共通の話題のタイムラインで繋がる仕組みがあります。例えば #DogsOfMastodon#CatsOfMastodon のようなタグでは世界各国のサーバーの犬や猫の写真を見ることができて楽しかったです。また、そのハッシュタグをフォローする仕組みが存在するので「こういう投稿が見たい」というトピックでタイムラインを作れるのも楽しいと思いました。

「分散型」を無闇矢鱈に推すのはもったいないと思った

Mastodon や Misskey などの所謂「連合型 SNS」はしばしば「分散していること」を重点的に説明されます。もちろんそれは Twitter や Facebook とは異なる大きな特徴ですし、避けずに通ることはできません。ですが、多くの記事を見ているとそこばかり強調しすぎな気がしました。そもそも Mastodon や Misskey も特定のサーバーにホストされて管理人が存在しているという意味では中央集権的ですし、ローカルタイムラインもサーバーによって雰囲気が異なります。

なら「分散していない」Mastodon や Misskey は Twitter の下位互換なのか?と言われると、そんなことはありません。Mastodon はハッシュタグの活用でよりマイクロブログとして進化していますし、Misskey は絵文字リアクションやチャンネルなどによってコミュニケーション手段としてより進化しています。

連合型 SNS のメリットは「自分達で居場所を作れること」だと思っています。好きなジャンルの話ができるサーバーが欲しければ自分たちで作ることができるし、サーバー同士で繋がれるから「人がいなくて登録できない」も避けられます。今までもジャンル特化型 SNS は多数存在しましたが、そこに存在したデメリットを解消できるようになったのは大きなメリットだと思っています。

Fediverse の改善してほしいところ

ここまで Fediverse / Mastodon のいいところを語ってきましたが、いいことばかりではないです。

ActivityPub の進化が追い付いていない

ActivityPub 自体は W3C によって標準化されていますが、その実態は各種実装によってかなり拡張されたものになっています。例えば Mastodon の検索周りの設定や編集機能は Misskey と互換性がありませんし、逆に Misskey の絵文字機能や MFM は Mastodon と互換性がありません。

せっかく共通の規格を使って相互通信ができるのに、それのおかげで「Mastodon で正しく表示できない」「Misskey で正しく表示できない」といった問題が発生するようになりました。

来年度はそういった互換の問題が規格で上手く解決するといいなと思いました。

全体のコストが高いのは事実

しばしば連合型 SNS のデメリットとして「規模に対してコストが高すぎる」という点が挙げられます。もちろん自分たちでサーバーを好き勝手立てて運営できることを考えるとこれは必然ではあるのですが、コストを下げられるのであればそれに越したことが無いのも事実です。

じゃあ何か改善策があるのか?と聞かれると何も無いの(それで思いつくなら、なーより遥かに頭のいい人たちが既にやってそう)ですが、将来的に Fediverse が発展していく上で解決していったらいいなと思いました。

まとめ

勢いでアドベントカレンダーに登録したので「だから何?」っていう感じの内容しか書けなかったのですが、総括としては Fediverse で新しい世界に触れられて楽しい1年でした。改善点が無くはないとはいえ、ActivityPub という共通の規格にさえ合わせれば他のソフトウェアとも通信できるのは(表現が雑だけど)インターネットらしくて面白いと思いました。

来年は自分で ActivityPub 実装を書いてみたいですし、もっと発展してほしいなと思っています。