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nan1sa の個人ブログ

都会の喧騒を離れて Mastodon に遊びに来ませんか?っていう記事

2023-08-20 雑記

タイトルは Misskey.io のトップページで使われている紹介文「暫し都会の喧騒から離れて、新しいインターネットにダイブしてみませんか」から借りました。この紹介文すき。

はじめに

去年の11月ごろから Mastodon や Misskey といった、いわゆる「連合型(分散型)SNS」が急速に発展するようになりました。他の SNS には無い独特の文化が話題になったのは記憶に新しいです。また、アカウントが使えなくなったときのリスクを回避するために複数の SNS に登録する人も増えました。

そんな中「最近聞くマストドンとかミスキーとかって何?」「そもそも連合型(分散型)って何なの?」「どのサーバーを登録すればいいの?」と、登録を躊躇っている人も少なくないと思います。この記事では、そういった疑問をできる限り解決できたらいいなって思っています。よければ、暇つぶしに読んでもらえると嬉しいです。

今回の記事は少し長くなるので部分部分に太字で各セクションの要約を書きました。もし「こんな長ったらしい文章を読みたくないよ」って人がいたら、いい感じに飛ばしつつそことまとめだけ読んでください。ただ、個人的には全文読んでくれると嬉しいです。読みにくいところがあれば頑張って直すので。

この記事で書きたいこと

  • 連合型 SNS の集合体の通称が Fediverse (フェディバース / 連合宇宙) である
  • Fediverse は SNS のコミュニティらしさを発揮しやすいのがメリット
  • テキストコミュニケーションが好きな人なら Mastodon がおすすめ

この記事を読んでほしい人

  • 外部記憶装置として SNS を使っている人
  • リスクに備えて新しい SNS に登録したい人
  • 連合型 SNS に興味がある人

注意点

  • Fediverse という単語自体は ActivityPub を用いた SNS のみを指す単語ではありませんが、今回は簡略化のためにそれ以外のプロトコル (OStatus や AT Protocol など) の説明はしません

そもそも Fediverse ってなんじゃい

要約:Federation (連合) と Universe (宇宙) から構成される Fediverse (フェディバース / 連合宇宙) は、互いに繋がっている複数の SNS の集合体である。Fediverse を構成する各サーバーは互いに独立していて、共通のプロトコルを通じて互いに通信をしている。全てのサーバーは独立していて、サーバーごとに管理者さんがいる。

Mastodon や Misskey の話をするとほぼ確実に Fediverse という単語が出てきます。でも、そもそもその Fediverse ってなんじゃらほいって感じの人も少なくないと思うので説明します。

Fediverse (フェディバース / 連合宇宙) とは、簡単に説明すると小規模 SNS の集合体を指します。難しく説明すると、共通の通信プロトコルを用いて相互に通信しているソーシャルネットワーキングサービスの集合体を指します。 Federation (連合) と Universe (宇宙) のかばん語が語源になっています。

Misskey や Mastodon は、その Fediverse を構成するサーバーを立てるためのソフトウェアです。その他にも、Pleroma や GoToSocial などのソフトウェアがあります。古のオタクなら知っているかもしれませんが、ジャンル的には OpenPNE (ボーカロイドにゃっぽん、という名前を聞くとピンと来る人も少なくないかも) と似たようなソフトウェアです。あと、いつかの個人サイトに置いたような掲示板用の CGI とかも近いかも

Mastodon や Misskey が OpenPNE などと違うのは、ActivityPub と呼ばれる共通のプロトコル(決まり)を通じて互いに通信をしていることです。例えば「○○さんのアカウントをフォローしたいのにサーバーが違うよ〜!」ってときも、ActivityPub を採用している SNS ならサーバーを跨いでフォローすることができます。これによって、ある専門サーバーにアカウントを作ったとしても別の専門サーバーのアカウントや汎用サーバーのアカウントをフォローすることができます。

そして、それらのサーバーにはそれぞれ管理人がいます。もちろん、この記事を読んでいるあなたも管理人になることができます。一般的な SNS は、利用規約などに書かれている決まりに不服があれば、その SNS での繋がりを保つことが難しいです。それに対して、Fediverse は特定のサーバーの決まりに不服があれば別のサーバーに引っ越して繋がり続けることができます。

もちろんサーバーの利用規約やサーバー所在地の法令など守らないといけない決まりはありますが、自分たちで決まりを作ることができるのは大きなメリットです。

結局、そのフェディバースとやらって何が嬉しいの?

要約:Fediverse は小規模コミュニティと大規模 SNS の両方のメリットを享受できるところ、全てのユーザーが自由なところが嬉しい

Fediverse を構成する各サーバーは大規模 SNS に比べて規模が大幅に小さいことから、良くも悪くもコミュニティ色が強かったり管理人との距離が近かったりするのが特徴です。例えば、Twitter の利用者数は5億4000万人でアクティブユーザーすら今年1月の時点で2億5000万人以上います(出典:旧ツイッターの「X」、月間利用者5.4億人超 「過去最高」=マスク氏 | ロイター)。

それに対して、おそらく日本で最も活発な Fediverse サーバーのひとつである Misskey.io の利用者数は約37万6000人で(出典:FediDB - Fediverse Network Statistics)、日本で Mastodon ブームのきっかけになった mstdn.jp でも約39万6000人です(出典:FediDB - Fediverse Network Statistics)。もちろん Fediverse サーバーとしては圧倒的に多い人口ですが、大手 SNS に比べると人口が少ないことがわかります。

多くの Fediverse サーバーにはローカルタイムライン(LTL)と呼ばれる特殊なタイムラインがあります。簡潔に説明すれば、各サーバーの公開投稿が全て流れるタイムラインです。大手 SNS でそんなものを実装したら流れが速すぎて使い物にならないと思います(余談:昔の Twitter にはパブリックタイムラインと呼ばれる類似機能が存在しました)。しかし、各 Fediverse サーバーは小規模なのでちょっとしたチャット感覚で楽しむことができます。そういった特性を利用した各テーマ向けのサーバーも多数存在します。

また、前述した「管理人との距離が近い」のもメリットです。多くのサーバーでは、何か困ったことがあれば管理人に直接コンタクトを取って解決することができます。また、テーマサーバーなら管理人もそのテーマのキャラクターや趣味が好きな場合が多いです。そういったコミュニティを構築しつつ、Discord などのコミュニティに比べて閉鎖的になりにくいのもメリットです。

一方で「コミュニティに属することに抵抗があるよ〜」とか「自分でサーバーを管理したいよ〜」といった人向けの選択肢もあります。例えば、コミュニティが苦手な人であれば Fedibirdmisskey.cloud といったローカルタイムラインを無効化したサーバーも存在します。また、Mastodon や Misskey はオープンソースなので自分でサーバーを立てることもできます。

そして、Fediverse ではそういったいずれの選択肢を選んでも同じく Fediverse にアカウントを持っていればサーバーに関係なくフォローできるのが大きな特徴です。つまり、数十人程度のサーバーに登録したとしても Fediverse の約1000万人以上のユーザーと繋がることができます。また、引っ越し機能に対応しているサーバーならフォロワーさんを引き継いで違うサーバーに引っ込すことができます。

さらに、前述した既存のソフトウェアが自分に合わなければ再実装することもできます。つまり、ActivityPub に準拠させれば、自作の実装で Fediverse の世界と繋がることができます。これってとてもすごくないですか?

いよいよ Mastodon の話

要約:Mastodon は「マイクロブログ」に特化したテキストコミュニケーション向けの設計なのが好き、クライアントアプリが豊富なのもいい

やっと Mastodon の話です。こんな長ったらしい文章を読んでいただきありがとうございます。珍しくこんな長文を書いているのでおなかがすいてカップ麺を食べながら記事を書いています。

で、Mastodon の紹介です。Mastodon は ActivityPub 準拠の SNS で、リアルタイムで更新されるタイムラインや API を売りにしています(関連リンク:GitHub)。もっと簡潔に説明すれば、Twitter と似た感覚で使うことができる ActivityPub 準拠 SNS です。

マイクロブログに特化しているので、主な機能は短文を投稿するだけと非常にシンプルな作りになっています。シンプルなので、はじめて使う人でも簡単に使うことができます。UI も通常の3カラム UI に加えて TweetDeck 風のマルチカラム UI を使うことができます。

また、Ice CubesIvory をはじめとする高機能なクライアントも多数存在するので好きなクライアントで使うことができます。もちろん、自分でクライアントや連携アプリを作ることもできます。

そんな Mastodon の、個人的に推したい機能は「注目のハッシュタグ」という機能です。どういう機能かというと、自分の公開投稿のうち特定のハッシュタグを付けた投稿だけを表示できる機能です。例えば、普段『#なーごはん』というハッシュタグを使って食事記録を取っているのですがこのページのようにまとめて見ることができます。

例に出した食事の記録にも使えますし、投稿したイラストをまとめるのにも使えます。ブログらしい使い方ができるのがとても便利です。

また、これは ActivityPub 対応 SNS 全般に共通する機能ですが、Content Warning 機能で長文を畳んだりネタバレ注意をしたりすることができるのがとても便利です。

結局、どこに登録するのがおすすめなの?

要約:知り合いが登録しているサーバーがあればそこ、特に無ければ Fedibird や Vivaldi Social がおすすめ

結局のところ、Fediverse は小規模なコミュニティの集合体なので知り合いがいるサーバーがいるならそこに登録するのがいちばん馴染みやすいと思います。もし好きなゲームやアニメなどがあれば、それのテーマサーバーを探してもいいと思います。そうでなければ、個人的には FedibirdVivaldi Social がおすすめです。

前述した通り、Fedibird はローカルタイムラインが存在しないサーバーです。独自機能が多数存在していて、Mastodon のシンプルさを持ちつつ Misskey の絵文字リアクション機能を取り入れたり引用機能が使えたりします。また、ローカルタイムラインが無いものの専用のハッシュタグがローカルタイムラインになっているのも面白い特徴です。そのため、緩く繋がりたい人にはおすすめです。

Vivaldi Social は言わずと知れたブラウザ Vivaldi の会社が運営しているサーバーです。こう書くと「難しい話をしているのかな」と想像しがちですが、日本人コミュニティはごはんの写真を上げたりのんびりとした会話をしたりとある意味「Fediverse らしい」雰囲気を感じます。更に Vivaldi アカウントで登録できるので気軽にはじめたい人にもおすすめです。

まとめ

以上、Fediverse と Mastodon の紹介でした。割と長ったらしく書きましたが、結局 Fediverse は手軽にコミュニティを構築しつつコミュニティ内外の人と自由に繋がれるところが魅力だと思っています。更に、Fediverse を実現している ActivityPub という仕組みが開かれた仕組みであることから、Mastodon や Misskey などに不満が出てきても他の実装を選んだり何なら自分で作れるのも面白いです。

Fediverse は確かに大手 SNS に比べると人口も少ないですし盛り上がりにも欠けると言わざるを得ません。しかし、小規模コミュニティの集合ならではのゆるやかな空気感は一見に値すると思います。もし、一度も登録したことがない人がいたら知らない世界を覗きに来る感覚で試しにサーバーに登録してみると嬉しいです。